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知っ得コーナー(令和5年5月号)

[楽しい園芸・野菜のルーツ] [ベジタブルライフ] [私の食育日記] [バックナンバー]

楽しい園芸 – プロから聞いたアドバイスを紹介。初めての人もおまかせ! –

【あなたもチャレンジ!家庭菜園】ニンジン 適期の種まきと灌水で発芽を万全に

園芸研究家 ●成松次郎

 

ニンジンの発芽適温は15~25度で、7~10日で発芽がそろいますが、35度以上では発芽しません。発芽直後の種は乾燥すると枯死し、過湿では酸素不足で発芽不良になります。その後の生育適温は20度前後の冷涼な気候です。

[品種]
耐病性、耐暑性に優れる品種を選びましょう。五寸系では「向陽二号」(タキイ種苗)、「ベーターリッチ」(サカタのタネ)、「ひとみ五寸」(カネコ種苗)などがあります。ミニニンジンは極早生で柔らかく、生食向きです。

[畑の準備]
種まきの2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gを散布して、深さ30cm程度に耕しておきます。種まきの1週間前に、1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと完熟堆肥2kgを施し、土とよく混ぜておきます。70~80cm程度の畝幅に、条間20cm、深さ1、2cm程度のまき溝を2条作ります(図1)。

[種まき]
畑が乾いているときは、まき溝に灌水(かんすい)をしておきます。溝に種を1、2cm間隔に条まきし、裸種子は5mmの厚さ、ペレット種子の場合は1cmの厚さを基準に覆土します。軽い火山灰土では手でしっかり土を押さえ付けておきましょう。さらに、もみ殻をかぶせて乾燥を防ぐ、黒寒冷しゃの被覆で地温を下げるなどの対策を行います。

[灌水]
種まき前に土にしっかり水を含ませること、発芽後も土を乾かさないことが大切です。なお、黒寒冷しゃなどの日射を遮る資材でべたがけしたときは、発芽後すぐに取り除きます。

[間引きと追肥、土寄せ]
1回目の間引きは本葉2、3枚のときに密生部や生育の遅れている株、逆に極端に進んでいる株を間引きます(図2‒1)。2回目は本葉5、6枚のときに行い、株間を6~10cmにします。間引く株の根元を手で押さえて引き抜きます(図2‒2)。最後の間引き後に1平方m当たり化成肥料50gを追肥し、株元に土寄せして株をしっかり固定させましょう。収穫期近くには、根の肩の部分にさらに土寄せし、根が緑に着色するのを防ぎます(図3)。

[病害虫の防除]
葉はキアゲハの大好物なので、見つけ次第、手で取り除きます。ネコブセンチュウに弱いので連作を避け、前作に被害があるときは作付けを控えましょう。

[収穫]
根径5cm程度に肥大した株から順次抜き取ります。年内は肥大が続くので、太り過ぎて裂根しないうちに収穫をします(図4)。8月まきでは、さらに土寄せして越冬させ、葉が枯れた後でも適宜掘り上げて収穫できます。

 

 

 

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

【野菜もの知り百科】セロリ(セリ科オランダミツバ属)

土壌医●藤巻久志

 

celeryの日本語表記は、新聞や雑誌はほとんどが「セロリ」、農林統計や産地では「セルリー」が多く使われています。「ひ」と「し」、「he」と「she」の区別が付かない江戸っ子・横浜っ子にとっては、「L」と「R」の発音も難しいかもしれません。
セロリの原産地は地中海沿岸地域といわれ、その後各地に伝わり品種分化しました。古代エジプトではミイラの葬礼に首飾りとして用いられ、ギリシャでは薬や香料として使われました。17世紀になって南欧では食用とされるようになりました。
日本には16世紀末、朝鮮出兵した加藤清正が東洋種を持ち帰り、「清正人参(にんじん)」という名が付きました。西洋種が渡来したのは江戸時代で、オランダ人によって長崎に持ち込まれたのでオランダミツバと呼ばれました。
開港した横浜では外国人向けに栽培されました。明治後期に長野県でも栽培が始まりましたが、香りが強いため普及しませんでした。広く流通するようになったのは1970年の大阪万博以降です。主な産地は長野県と静岡県です。
黄色種と株全体が緑色をした緑色種、茎葉が淡緑色の中間種があります。日本では黄色種を軟白栽培したものが主流でしたが、現在は中間種が広く流通しています。米国では緑色種が好まれています。中国野菜のスープセロリはセロリの原種に近いとされ、キンサイ(芹菜)の名でも売られています。肥大したカブ状の根を食べるセロリアックもセロリの仲間で、根セロリともいいます。
セロリはスティック状に切って、塩やマヨネーズなどを付けて簡単に食べられます。炒め物やスープなどにも利用でき、浅漬けにしてもおいしいです。
セロリをはじめ、ニンジンやパクチーなどセリ科野菜は、独特の香りがあり子どもに嫌われがちな食べ物です。しかし、大人になると好きになるから不思議です。

藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。

シニア野菜ソムリエKAORUのベジタブルライフ

梅 - 疲労回復や食中毒予防に

シニア野菜ソムリエ ●KAORU

 


KAORU

日本野菜ソムリエ協会公認 シニア野菜ソムリエ
ラジオ局で報道キャスターを務める傍ら、野菜ソムリエの資格を取得。全国で第1号の野菜ソムリエとなる。現在は日本野菜ソムリエ協会の講師として野菜ソムリエの育成に力を注ぐ他、TV・ラジオ・雑誌などでも活躍。セミナーや講演、執筆活動も行っている。飲食店のレシピ開発や大手企業とのコラボ商品も多数手掛ける。大好きな野菜・果物について語る時間は何よりも幸せなひととき。
著書に『干し野菜手帖』『野菜たっぷり!サンドイッチレシピ』(共に誠文堂新光社)、『ポケット版 旬の野菜カレンダー』(宝島社)などがある。

私の食育日記

骨に良い食事を目指そう

食育インストラクター●岡村麻純

冬には家族でスキーやスノーボードに夢中になっていますが、今年は夫がまさかのけが。腕の骨にひびが入ってしまいました。それからはわが家の食事は骨に良いものというテーマになっています。骨に良い食事は、けがだけでなく、成長期の子どもや高齢者にとっても大切です。
骨といえばカルシウム。カルシウムは体内の約99%が骨と歯に含まれていますが、残りの1%は血液中に含まれ、とても重要な役割をしています。この血液中のカルシウムが不足してくると骨にあるカルシウムを使うため、骨が弱くなったり、成長に影響を及ぼしたりすることもあるのです。
厚生労働省が出している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、カルシウムを食事から取る1日の推奨量は12〜14歳の成長期に最も多く、男子では約1000mgです。牛乳1杯に含まれるカルシウムが約230mgですので、成長期には1日牛乳4杯分ほどのカルシウムの摂取が望ましいことが分かります。そして30代男性で約740mg、65〜74歳の男性では約770mgとなっています。糖質など多くの栄養は高齢になるにつれ摂取目標が少なくなっていきますが、カルシウムは加齢とともに吸収率が下がるため、高齢の方により多い摂取目標となっています。
カルシウムの吸収率が良い食品といえば牛乳です。他にも小魚や小松菜、チンゲンサイなどの野菜にも多く含まれます。さらにカルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDを一緒に摂取することをお勧めします。ビタミンDは干しシイタケやキクラゲ、イワシやサケに多く含まれます。一方、リンはカルシウムの吸収を妨げてしまうので、リンが多く含まれるインスタント食品や加工品の摂取は控えめにしましょう。
骨に良い食事を目指して、毎食カルシウムを多く含む食品を一つでも加えられるように意識していこうと思います。


岡村麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/

出典:JA広報通信2023年5月号

 

 

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