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知っ得コーナー(令和4年11月号)

[楽しい園芸・野菜のルーツ] [ベジタブルライフ] [私の食育日記] [バックナンバー]

楽しい園芸 – プロから聞いたアドバイスを紹介。初めての人もおまかせ! –

【あなたもチャレンジ!家庭菜園】余った種を保存 乾燥と低温で

園芸研究家 ●成松次郎

 

自給菜園ではたくさんの種類を栽培しますので、買い求めた種が少しずつ余ってしまい、使い切れなくなったことはありませんか。余り種は上手に保存すれば、翌年に使うことができます。

[種の寿命]
種袋には有効期限が記されていますが、これを過ぎても発芽しないわけではありません。種の寿命は発芽能力がある期間で、種類によって寿命が異なります(表)。発芽能力は、採種後の日数が経過するにつれ低下しますが、寿命は貯蔵中の湿度と温度などの保存状態の影響を受けます。現在普及しているペレットやフィルムコートなどの加工種子は寿命低下が早いので有効期限内に使い切るのが原則です。

 

[種の保存]
温度が下がるごとに寿命が延びますので、低いほど良いのですが、実用的には5度程度の冷蔵室内が適切です。冷凍室は長期保存に適しています(図1)。
また、湿度が低いほど種の寿命は長くなり、相対湿度30%程度が良いとされていますので、高湿度の野菜室は向いていません。実用的には、茶筒などの密閉容器に、乾燥剤と共に入れておきます。そして、これらの容器の合わせ目には粘着テープを貼ってしっかりと密閉しておきましょう(図2)。このような保存方法で、短命種のタマネギでも3、4年は使うことができます。

 

[種の発芽を確認]
種の発芽には水分、温度、光、酸素などの環境条件が影響します。良い種とは発芽にかかる時間が短く、芽の伸びに勢いがある種です。
正式な発芽試験方法は野菜の種類ごとに決まっていますが、保存した種が使えるか心配なときは、簡易な発芽試験で確認することができます。イチゴパックなどの容器にキッチンペーパーを敷いて複数の種を置き、ひたひたになるよう水を加え、室内に置いておきます(図3)。数日後発芽してきた様子を観察します。その発芽率が半分以下なら使用は取りやめます。

【野菜もの知り百科】コウサイタイ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医●藤巻久志

 

中国野菜というと、若い人は中国から輸入した野菜だと思うかもしれません。
年配の人の多くは、1972年の日中国交正常化に伴いやって来たカンカンとランランのパンダフィーバーと、チンゲンサイやタアサイなどの中国野菜ブームを思い出すことでしょう。
中国野菜ブームは、日中国交正常化の前年に開催された広州交易会に参加した坂田種苗(現・サカタのタネ)などが種を持ち帰ったことから始まります。日本の風土に適応するように品種改良され、千葉県柏市や静岡県磐田市などに中国野菜の産地ができました。消費が急に伸び、毎日のように新聞やテレビなどで中国野菜に関する報道がされ、デパートやスーパーの野菜売り場に中国野菜の特設コーナーが設けられました。
コウサイタイも中国野菜の一つで、漢字では「紅菜苔」と書きます。「苔」はコケの意味ではなく、「薹」の当て字でとう(花茎)のことです。つぼみの付いた花茎を食用にします。9月に種まきすると年内から花茎が伸び、3月末ごろまで次々と長期間収穫できます。黄色の花は観賞用にもなります。
原産地は揚子江中流地域で、唐の時代にはすでに栽培されていました。日本には遣唐使が種を持ち帰ったかもしれません。しかし他家受粉のため周りのアブラナ属と交雑して、特性は維持できなかったでしょう。日中戦争中にも兵隊が種を持ち帰りましたが、当時もまだ交雑を防ぐ採種技術がなかったためか、定着はしませんでした。
コウサイタイは茎や葉柄が赤紫色で、寒さに遭うと濃くなります。加熱すると葉と同じ緑色に変化します。柔らかく、独特の甘味とぬめりがあり、炒め物やおひたしなどに適します。アスパラ菜という名でも流通している「オータムポエム」は、コウサイタイとサイシン(菜心)を掛け合わせた品種で、葉も茎も緑色です。

藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。

シニア野菜ソムリエKAORUのベジタブルライフ

ミカン - 冬の風邪予防、美肌つくりに

シニア野菜ソムリエ ●KAORU

 


KAORU

日本野菜ソムリエ協会公認 シニア野菜ソムリエ
ラジオ局で報道キャスターを務める傍ら、野菜ソムリエの資格を取得。全国で第1号の野菜ソムリエとなる。現在は日本野菜ソムリエ協会の講師として野菜ソムリエの育成に力を注ぐ他、TV・ラジオ・雑誌などでも活躍。セミナーや講演、執筆活動も行っている。飲食店のレシピ開発や大手企業とのコラボ商品も多数手掛ける。大好きな野菜・果物について語る時間は何よりも幸せなひととき。
著書に『干し野菜手帖』『野菜たっぷり!サンドイッチレシピ』(共に誠文堂新光社)、『ポケット版 旬の野菜カレンダー』(宝島社)などがある。

私の食育日記

子どもが大好きサツマイモ

食育インストラクター●岡村麻純

待ちに待ったサツマイモの季節が来ました。寒くなるこの季節、子どもたちには風邪予防にたくさんの野菜を食べてほしいけれど、食の嗜好(しこう)がまったく違う子ども2人が共通して喜ぶ野菜はなかなかありません。そんな中、2人とも大好きなのがサツマイモです。どんなに時間がなくても1食に1品は野菜を入れるよう心がけているわが家では、サツマイモが大活躍です。
サツマイモの主成分の3割は炭水化物です。その炭水化物のうち多くはでんぷんですが、スクロースやグルコース、フルクトースも含まれるため、他の芋類より甘味が強く、乳幼児期にはおやつの定番でした。炭水化物が多いことから、サツマイモはエネルギー源としての役割が強い印象ですが、野菜としての栄養もしっかりと含まれています。
サツマイモは芋類の中でビタミンCが豊富です。通常、ビタミンCは熱に弱く、生で食べる野菜での摂取が中心ですが、サツマイモのビタミンCはでんぷんに守られることで加熱しても失われにくいことが分かっています。焼き芋の皮なし100gに含まれるビタミンCは23mg。これは、おおよそですが、焼き芋1本に、幼児が1日に必要なビタミンCが含まれていると考えられます。ちなみに5歳の娘の場合、サツマイモ半分はぺろりと食べてしまいますが、同じぐらいのビタミンCを取るためにピーマン1個を食べさせるのは至難の業なため、母としても大助かりです。
他にも、サツマイモには食物繊維が多いため、便秘改善効果もあります。また、ビタミンEが含まれ、紫芋にはアントシアニン、安納芋など黄色いサツマイモにはカロテンが含まれるため、病気や老化を防ぐ抗酸化作用があることが分かっています。
サツマイモの季節、子どもたちはたくさんの品種のサツマイモを焼いたり蒸したりして、味比べをして楽しんでいます。2人はやはり、好みのサツマイモもまったく違うようです。


岡村麻純(おかむら ますみ)
1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/

出典:JA広報通信2022年11月号

 

 

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