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【あなたもチャレンジ!家庭菜園】 ジャムにして逸品、ルバーブの薦め
板木技術士事務所 ●板木利隆
ルバーブはシベリア南部が原産のタデ科の野菜(和名:大黄)です。日本では知名度が低いものの、ギリシャ、ローマでは紀元前から医薬用として用いられたとされ、ロシア、北欧、スイス方面を旅すると、家庭菜園でもよく見られます。
草丈は50~60cm、葉幅30~35cm、葉柄の大きさが2~3cmにもなる大株の、多年生の強健野菜です。
この葉柄の部分は、肉の消化を助ける酵素が含まれ、カルシウム、カリウムも多く、豊富な繊維質は整腸、脂肪分を取り除く効果があるとされますが、魅力なのは強い酸味で、これを生かしたジャムの味は逸品です。加工も容易(後述)なので、地産地消の村おこし野菜としてもお薦めです。
ジャムの他に、マーマレードや砂糖漬け、シャーベットなどにも利用できます。葉を食べてもおいしくないので、鳥獣害を受けにくく、山間地を利用して栽培されている所もあるようです。
育て方は、3月下旬~4月に種まき、苗作りして畑に植え出す方法と、すでに栽培されている根株を3月ごろ株分けして植え付ける方法とがあります。苗は市販されていることはあまりなく、ネット通販で探すのが手っ取り早いでしょう。
強健な多年草で、一度植えておけば数年間収穫し続けられます。
冬の間は葉が枯れて休眠し、耐寒性は強く、夏の暑さにもよく耐えて育ちますが、土壌の多湿には弱いので、排水の良い畑を選びます。
あらかじめ石灰をまいて耕しておいた畑に、元肥に粗い堆肥と油かすを施し、条間120cm、株間50cmぐらいに植え付けます。その後、生育中に2~3回、若干の油かすと化成肥料を追肥し、生長を促します。
植え付けた1年目は収穫せず株を大きく育て、2年目の5月から6月にかけて、1回に2~3枚の葉を、葉柄を付けて切り取り収穫します。
7月ごろとう立ちし、白い花をにぎやかに咲かせますが、そのままにしておくと株の育ちが悪くなるので、早めに切り取ります。
●ルバーブジャムの作り方
ざく切りにしたルバーブの葉柄に砂糖をまぶし、しばらく置いて水分が出てきたら火にかける。煮詰まったらレモン汁を加える。砂糖は全体量の60%ぐらいを目安にしましょう。。
芽が動く前、宿根草の植え付け
●早川 京子
立春のころから徐々に上昇してきた気温が3月になると、さらに上がり、本格的な春に向かっているな、と思わせられるようになります。草花は根が動きだし、春の開花に向けての準備を始めます。
宿根草の根が動き、やがて芽が動き始めますので、3月中の芽が伸びないうちに、植え付け後3年以上の物は、伸び伸びと育ち、良い花を咲かせてもらうため、株分け、植え替えをしましょう。株分けでは、1株に3芽くらいずつ付けて分けます。1株1芽に小分けすると、かえって開花しない物があったり、花が貧弱になったりします。植え付け場所は、3週間前くらいに耕し、土壌酸度を矯正して、腐葉土など有機質を入れておきます。植え付けて年数がたってなく植え替えしない物は、株の周囲に浅く溝を掘り、芽出し肥を施して、今年の「体力づくり」を促します。
球根植え付けや種まきは、3月下旬以降のソメイヨシノ桜の開花期ころですが、ダリアやグラジオラスは、鉢に植えて室内に置けば、暖かいので発根し始めます。芽が出てから花壇に植えれば、早く花が見られます。種物ではキンレンカもそんな手法を使えば、4月の暖かさを待ってまくより早く咲きます。
秋まきした草花苗は暖かさで伸びが良くなります。中旬過ぎに花壇に定植します。デージーやパンジーは開花期間が長いので、株間は草丈の割にはやや広めに取っておくのが良いでしょう。移植を嫌うスイートピー、ルピナス、ポピーなどは間引きをして通風や日当たりを良くして育てましょう。菊は、親株の脇から出ている冬至芽の根分けをしましょう。
ベジフル歳時記・野菜のルーツ – 身近な野菜のルーツをご紹介します –
春を知らせる山菜
シニア野菜ソムリエ ●KAORU
春を知らせる「山菜」のお目見えです。鮮度が落ちやすく以前は主に産地で消費されていましたが、流通の発達に伴い近年ではスーパーやデパートなどの野菜売り場で手軽に手に入るようになりました。
山菜には独特の苦味があり、実はこの苦味が私たちの体に効果的に作用するといわれています。冬の間、代謝が低下し冬眠状態でいた体を目覚めさせ、活動の時期が訪れたことを知らせる役割があるのです。「春の料理には苦味を盛れ」ということわざがあるほど、古くから山菜は春に欠かせない食材でした。
この苦味成分は強い抗酸化作用を持つポリフェノールで、老化の原因といわれる活性酸素を除去し、新陳代謝を促進する働きを持っています。また香り成分のテルペンは、血行促進や血圧を安定させる作用がある他、精神を落ち着かせる効果も。ビタミンCなどのビタミン類やカロテンなどのミネラル類もバランスよく含まれていて、季節の変わり目に起こりやすい肌のトラブルや体のだるさを改善してくれるのもうれしいポイントです。おなかの調子を整える食物繊維も豊富で、老廃物を体外に排出するデトックス効果も期待できます。
山菜特有の苦味や香りが苦手な方でも、調理法や下処理次第でおいしく食べられることも。特に油とは相性が良く、天ぷらや油炒めなどは苦味が和らぐのでお勧め。中でもフキのとう、タラの芽、コシアブラなどは天ぷらに最適です。タケノコ、フキ、ワラビ、ゼンマイなどはしっかり下ゆでをしてあくを抜いてから煮物やあえ物にすると美味。
一方、菜の花やセリ、ウルイなどは、ゆで過ぎるとうま味や香りが損なわれてしまうので、さっと下ゆでを。ごまや酢みそ、マヨネーズなど風味やこくが豊かな調味料であえるとより食べやすくなります。あくが少なく生食ができるウドは、酢水にさらしてサラダやあえ物にすると、食感や香りが楽しめますよ。
豆知識・簡単レシピ – 旬の食材の豆知識やレシピを紹介します –
新鮮食材で楽しくクッキング① テンペのステーキ丼
料理研究家 ●波多野充子
■材料(2人分) 1食当たり約539kcal
テンペ …………………………… 2枚 |
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■ 作り方
テンペは大豆の発酵食品で、食物繊維などがいっぱい含まれています。発酵食品独特の粘りや香りもなく、便利な健康食品として注目されています。日持ちが長く、冷凍保存もできるので手元にあると便利な食材です。ボリュームもあるので野菜と合わせてガッツリ丼でお召し上がりください。 |
新鮮食材で楽しくクッキング② カブと生青のりのスープ
■材料(2人分) 1食当たり 約73kcal
カブ ……………………………… 2個 |
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■ 作り方
丸ごと1個のカブと、香りの良い生の青のりで作るスープです。とろみとして使う本クズの生命力は強大で、漢方薬としても用いられています。体を温めてくれる優しいとろみ、ぜひお試しください。 |
ベターホームのお料理教室
スタミナ満点! 疲労回復効果があります - ニラ –
年中出回っているニラですが、春先に旬を迎え、香り良く、柔らかなニラが出回ります。ニラは、漢字では「韮」と書き、ニラが地面に生えている様子をかたどったものからできているといわれています。
ニラには、一般的に売られている緑色のニラの他にも、日光を当てずに作った全体が白っぽい黄ニラ、先端につぼみが付き、ニラ特有の臭いがマイルドで甘味が特徴の花ニラなど、あまり出回ってはいませんがさまざまな種類があります。
栄養はカロテンやビタミンE、食物繊維を多く含んでいます。ニラ特有の臭いは、「アリシン」という成分で、疲労回復効果のあるビタミンB1の吸収を高める働きがあり、豚肉や大豆製品と一緒に料理すると、より効率的に栄養が摂取できます。また、アリシンには抗酸化作用があり、血行を良くして体を温める働きも。スタミナをつけたいときにお薦めの食材です。
選ぶときは葉が肉厚で幅広、葉先まで張りがある物が新鮮です。茎は太過ぎる物は筋っぽいので注意しましょう。ニラは傷みが早いので、買った後はポリ袋に入れて野菜室で保存し、早めに使い切りましょう。生のまま一口大に切って冷凍することもできます。使用するときは、凍ったまま炒め物やスープなどに入れて調理します。
炒め物などに入れることが多いニラですが、火の通りが早いので、さっとゆでておひたしや、ごまあえなどにしても、おいしく召し上がれます。
RECIPE ニラチャーハン
撮影:大井一範 |
■材料(2人分) 一人分約376kcal
ニラ ………………………… 1/2束(50g) |
■ 作り方(調理時間 15分)
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出典:JA広報通信2015年2号
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