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楽しい園芸 – プロから聞いたアドバイスを紹介。初めての人もおまかせ! –
【あなたもチャレンジ!家庭菜園】 楽に育てられ使い道の広いスイスチャード
板木技術士事務所 ●板木利隆
和名をフダンソウ(不断草)といい、その名の通り暑さ寒さに耐えてよく育ち、順次まき、あるいは葉をかき取り長期間収穫できる重宝野菜です。
原産地は地中海沿岸地方で、江戸時代に渡来した在来種と、明治に入って導入された西洋種があり、前者は小葉で茎の部分が赤い早生種、後者は葉幅が広い濃緑の晩生種、育つにつれて葉柄と葉脈が黄、赤、白と色づきます。
葉にはつやがあり、多彩な色が各種サラダに合い、ベビーリーフやスムージーにも向き、炒め物やおひたし、豆腐との相性が良いのでみそ汁の具にしてもよく、大変幅広い使い方ができます。ただし緑葉の大葉にはえぐ味があるので、塩を加えた熱湯に入れさっと下ゆでして用いること、カラフルな葉はゆでたり酢漬けにすると色が抜けるので、ほどほどにするなど、調理に当たっては注意が必要です。
栄養的にはカロテンが特に豊富で、ビタミンも多いため抗酸化作用が期待され、ビタミンB2、カリウム、鉄分は小松菜よりも多く、緑黄色野菜としても優れています。
適温の幅は広く、15~30度で発芽し、生育適温は20~25度。やや冷涼な気候を好みますが、耐暑性もあり、4月から10月まで長い間種まきできます。
種まきは128穴のセルトレイに1粒まきとし、本葉4~5枚に育てて本園に定植する方法と、本園にじかまきする方法のいずれかにします。本種はアカザ科(ビートなどと同類)なので、1粒の種(種球)から4~5本の芽が出てくるので、勢い、葉形の良い物1~2本を残し他は早いうちに摘除します。
多湿や酸性に弱いので、本園は排水の良い場所を選び、あらかじめ石灰を施しておくことが大切です。
強健な性質であるので、多肥にする必要はありませんが、良質品を取り続けるためには、元肥に完熟堆肥と油かすを全面に耕やし込み、生育中に2回、長期にかき取り収穫する場合は15~20日ごとに化成肥料を追肥し、軽く中耕、土寄せをします。土寄せに当たっては、葉の付け根に土が入り込まないよう留意します。
収穫は草丈が20cmほどに伸びたころから行いますが、株ごと抜き取る場合と、大きくなった外葉を1~2枚ずつ順次かき取る場合があります。またカラフルな品種では発色した物を適宜葉ごとに摘み取り利用したりします。
プランターに列状にじかまきし、小さいうちに収穫してベビーリーフとして利用するのもよいでしょう。
種まき、植え付け本格化
●早川 京子
4月も草花の種まき時期です。それでも遅霜の心配される地域や、アサガオ、サルビアなど高温を好む物は、種まきを5月まで待ってもいいでしょう。特にアサガオは、日照時間15時間以下にならないと花芽ができないとされていますので、少々種まきが遅れても、生育期間は十分にありますので、ゆっくりまけます。高温を好むこれらの草花は、霜の当たらない場所があれば、そこに種まきをしたり、室内でまいたりして、育苗し大きくしてから植え付ける手もあります。気温が上がってくる時期ですので、意外に早く苗が込み合いますので、注意しましょう。
3月に早まきした草花はそろそろ株間が込み合ってきますので、頃合いを見計らって、定植します。
球根は芽が出ていようといまいと、中旬くらいまでに植え付けましょう。チューリップやスイセンなど秋植えの球根草花は、花が終わったらすぐに花殻を取り除き、球根への負担を少なくしてやります。その後、葉が緑色を失うころになったら、掘り上げます。スイセンはかなり長い間、緑の葉を付けていますが、それでも梅雨入り近くには掘り上げましょう。球根草花以外でも花殻は取り除くようにしましょう。雨がたまって花殻が腐ると病原菌が増殖して、病気のもとになります。
菊は親木作りのために植え替えておいた冬至芽が芽を伸ばし始めたら、挿し穂を増やすため摘心します。まだ冬至芽を植え替えていない場合には、早めに4号くらいの鉢に植え付け、親木作りをします。この株から芽が伸び始めたら、摘心して側枝を出させます。摘心は下葉5~6枚を残して先端部を摘み取ります。側枝に本葉5~6枚以上出たころ、これを切り取り、先端の生長葉とその下の本葉2~3枚を付けて挿し穂にします。これが、秋に花を咲かせてくれる株になります。
今から菊作りを始めようとする人は、種苗会社や苗物店で苗を、4月中に購入しましょう。
ベジフル歳時記・野菜のルーツ – 身近な野菜のルーツをご紹介します –
豆類がおいしい季節
シニア野菜ソムリエ ●KAORU
4月3日は「いんげん豆の日」。この日はインゲンマメを中国から日本へ伝えたとされる隠元(いんげん)禅師の命日に当たります。インゲンマメは若いさやごと食用としたり、完熟した豆のみを食べることもあります。「白インゲンマメ」「金時豆」「うずら豆」「とら豆」などはその仲間です。
中でも爽やかな緑色のさやを食べるサヤインゲンは、料理に華やかさを添えてくれる代表的な野菜で、特にこの時期には春の行楽弁当のおかずとして大活躍。肉巻きや卵焼き、ちらしずし、ごまあえなど幅広い料理に活用できます。
お薦めはサヤインゲンと春に出回る他の豆類を組み合わせて調理し、季節感を存分に楽しむ食べ方。塩ゆでしたスナップエンドウ、キヌサヤ、グリーンピース、ソラマメなどと合わせて、オリーブ油、塩、こしょうでシンプルに味付けするだけ。それぞれが持つ食感とうま味が重なり、ぜいたくな旬の味わいが楽しめます。簡単にできるシンプルな豆サラダは、おしゃれなおもてなし料理にもカジュアルな食卓にも合い、工夫一つでアレンジも可能。ハーブで香りと風味をプラスしてお肉やお魚の付け合わせに、またチーズと合わせてワインのお供に。生ハムやゆで卵と一緒にパンに挟むと春らしい色合いで、お花見メニューとしてもぴったり。何通りもの楽しみ方ができる便利な一品といえるでしょう。
さらに注目すべき点は体にうれしい成分を多く含んでいること。強力な抗酸化作用があるカロテンやビタミンC、新陳代謝を高めるビタミンB群、さらに体の調子を整えるカリウム、カルシウム、鉄などのミネラル類や食物繊維などを豊富に含有しています。疲労回復や美肌に役立つアスパラギン酸、リジンなどをバランス良く含むのも特徴。活動が活発になるこの季節の体づくりや成長をサポートしてくれるタンパク質も同時に摂取できるので、彩りとしての利用だけではもったいない栄養価の高い野菜なのです。
豆知識・簡単レシピ – 旬の食材の豆知識やレシピを紹介します –
新鮮食材で楽しくクッキング① 春の野菜ずし
料理研究家 ●波多野充子
■材料(3人分) 1食当たり約465kcal
米 ……………………………… 2合 |
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■ 作り方
野菜たちが主役の季節感あふれるおすしです。下ごしらえはサッと焼いたり、ゆでるだけで出来上がり。お好みの材料やスパイスを合わせて、わが家流おすしをお楽しみください。 |
新鮮食材で楽しくクッキング② タケノコとアサリの煮物
ベターホームのお料理教室
クレソン
タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純
クレソンは、ワサビやダイコンと同じアブラナ科の植物で、ピリッとした味とコショウのような香りが特徴です。
健康草と呼ばれることもあるほど栄養価が高く、はるか昔、紀元1世紀のギリシャの書物にもクレソンの薬効について述べられていたそうです。日本には明治時代に西洋野菜として入ってきました。今では一年中出回っていますが自生の物は3月から6月ごろが旬です。
クレソンはアブラナ科植物独特のシニグリンという辛味成分を持っています。ワサビやダイコンにも含まれるこの辛味は、すりおろしたりして細胞が壊れることで生成します。クレソンもしっかりかんで食べることで、ほどよい辛味と刺激を楽しむことができます。この辛味成分は食欲を増進させる効果や、消化を助ける働きをします。脂肪の多いステーキなどの付け合わせにするのは、理にかなっているのです。また、この辛味成分は加熱することで生成しなくなるため、炒め物などにした場合は辛味もなく、苦味や爽やかな香りが引き立ってまた違ったクレソンの魅力を楽しむことができます。
クレソンには鉄分も多く、その上鉄分の吸収を助けるビタミンCも含まれるため、貧血予防には適した食材です。またカロテンやカリウムも豊富です。新鮮な野菜や果物から十分にカリウムを取っていると高血圧の予防になることも分かっています。その点でもトマトやベーコンなどと自由に合わせてサラダとして登場させたい野菜です。
他にもお魚料理のソースや、スープにしてもおいしくいただけます。まずは普段の料理、例えばポテトサラダやパスタ料理などにプラスして、独特の辛味や香りをアクセントにしてみてはいかがでしょうか。まだまだ日本では、お肉の付け合わせという印象のクレソンですが、よく食卓に並ぶ野菜の一つに加えてほしい、体にうれしく万能なお野菜です。
岡村麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。 公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/
RECIPE クレソンのおひたし
撮影:大井一範 |
■材料(1人分) 一人分約34kcal
クレソン …………………………… 2束(80g) |
■ 作り方(調理時間 10分)
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出典:JA広報通信2015年3号
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