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知っ得コーナー(令和元年9月号)

[楽しい園芸・野菜のルーツ] [ベジタブルライフ] [私の食育日記] [バックナンバー]

楽しい園芸 – プロから聞いたアドバイスを紹介。初めての人もおまかせ! –

【あなたもチャレンジ!家庭菜園】 ホウレンソウ 酸性土を矯正し、排水を良くする

園芸研究家 ●成松次郎

 

ビタミンやミネラルを豊富に含む緑黄色野菜で、特に日本人に不足しがちなビタミンB群や、造血作用に関係する葉酸、そして鉄分とカリウムが多いのが特徴です。生育の適温は、15~20度で冷涼な気候を好み、耐寒性は強いが暑さには弱く、25度以上になると生育が衰えます。関東以西の地域では、夏取り以外は栽培できますが、冬取りの栄養価が高く、甘味も増し最もおいしい季節です。
[品種] 秋取りは生育の良い「アトラス」(サカタのタネ)、「オーライ」(タキイ種苗)、「ハンター」(カネコ種苗)など、冬取りは寒さに強い「ソロモン」(サカタのタネ)、「トライ」(タキイ種苗)などが良いでしょう。
[畑の準備] ホウレンソウは酸性土を嫌うため、事前に1平方m当たり苦土石灰150gを畑全体に散布して、よく耕しておきます。次に、幅1mの広幅の栽培床を作り、1平方m当たり化成肥料(N-P-K=10-10-10)150gと堆肥2kgを土とよく混和しておきます。
[種まき] 適期は9~10月。栽培床は平らにならし、条間20cm、深さ1~2cm程度のまき溝を切り、まき溝を板切れを立てて平らな溝に仕上げ、1cm間隔に種をまきます(図1)。1cmほど覆土し、たっぷり灌(かん)水します。そして、風雨や害虫から幼苗を守るため不織布をべた掛けします(図2)。
[管理] 1回目は発芽そろい時に込み合っている所の株を抜き取り、その後、2~3回に分けて最終的に株間を4~5cmにします(図3)。栽培期間が長い10~11月まきでは、草丈10~15cmのころ、1平方m当たり30gを追肥し、株元に軽く土寄せします(図4)。
[病害虫の防除] ヨトウムシは見つけ次第、捕殺し、アブラムシには、気門閉鎖剤(商品名:粘着くん液剤)などで防除できますが、不織布をべた掛けして飛来を予防すると良いでしょう。
[収穫] 草丈が25cmくらいを収穫の目安にしますが、30cm程度になってもホウレンソウ本来のおいしさは変わりません。株元の根を鎌やはさみで切り取ります。直売所などに出荷する場合は、枯れ葉を除いて300gくらいに束ねます。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

【ベランダでできるキッチンガーデン】 イチゴ(バラ科オランダイチゴ属)

土壌医●藤巻久志

 

果物屋でも八百屋でも売られているメロンやイチゴは、果物、それとも野菜でしょうか。
植物的分類では、野菜は毎年種をまいたり苗を植えたりして収穫する一年生の草本作物で、果物は樹木に結実する実を何年にもわたり収穫する永年性の木本作物です。
ウリ科のメロンは種から育てて、1年以内に収穫を終える草本作物なので、植物的分類では野菜です。イチゴはバラ科で、バラ科は永年作物ですから果物になります。
農林水産省の統計ではメロンやイチゴは野菜として集計されますが、同省が認可監督する中央卸売市場では果物として扱われます。メロンやイチゴは「果物的野菜」に分類するのが良いのかもしれません。
イチゴはベランダでも簡単に栽培できます。10月になるとキッチンガーデン向きの品種の苗がホームセンターなどの店頭に並びます。ポット苗に付いているラベルの写真と説明を見て、好みの苗を購入します。
深さ15cm以上のプランターをベランダの日当たりの良い所に置き、市販の培養土を入れます。株間15~20cmに、クラウン(根茎部分)の根元が見えるくらいに浅植えします。土が乾いたら冬でも水やりをします。
活着する11月上~中旬と、葉茎が本格的に伸びてくる2月下旬~3月上旬に1000倍の液肥を1週間置きに施します。黄色く枯れた葉や赤くなった葉は、葉の付け根から丁寧にかき取ります。
品種やその年の気候によっても多少違いますが、5~6月に収穫できます。赤くなった物から収穫します。果実には手を触れずに、果梗(かこう)のところを爪で摘み取ります。
収穫が終わると、親株からランナーが伸びて子株ができます。この子株を育てて苗を作ります。これを毎年繰り返します。
数年後にイチゴを収穫しながら「このイチゴは〇〇ちゃんが生まれた年から栽培しているのだよ」という会話ができるかもしれません。

藤巻久志(ふじまきひさし)
種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土づくりに関して幅広くアドバイスを行う。

シニア野菜ソムリエKAORUのベジタブルライフ

サヤインゲン - 名脇役の彩り野菜

シニア野菜ソムリエ ●KAORU

 


KAORU

日本野菜ソムリエ協会公認 シニア野菜ソムリエ
ラジオ局で報道キャスターを務める傍ら、野菜ソムリエの資格を取得。全国で第1号の野菜ソムリエとなる。現在は日本野菜ソムリエ協会の講師として野菜ソムリエの育成に力を注ぐ他、TV・ラジオ・雑誌などでも活躍。セミナーや講演、執筆活動も行っている。飲食店のレシピ開発や大手企業とのコラボ商品も多数手掛ける。大好きな野菜・果物について語る時間は何よりも幸せなひととき。
著書に『干し野菜手帖』『野菜たっぷり!サンドイッチレシピ』(共に誠文堂新光社)、『ポケット版 旬の野菜カレンダー』(宝島社)などがある。

私の食育日記

野菜の追熟

食育インストラクター●岡村麻純

果物が大好きな子どもたちは、マンゴーやキウイフルーツを買ってくると、香りをかいだり、触ってみたりして、「もう少し置いておこう」とか「そろそろ食べ頃だよ」と、うれしそうに教えてくれます。この収穫後室温に置いて、より熟させていくことを、追熟といいます。
追熟させて食べる果物として代表的なバナナは、未熟なうちに収穫します。収穫時は、でんぷんが20%ほど存在しますが、20度ほどの室温で成熟させた頃にはでんぷんはわずか1%ほどにまで減り、糖が20%まで増加します。また、バナナに含まれるポリフェノールは未熟のときは渋味になりますが、成熟後は不溶性になるので渋味を感じなくなります。
このように追熟した方が良い果物は、他にもメロンやスモモがあります。また、甘夏やハッサクなどのかんきつ類も少し置くことで酸味が減り甘味が感じやすくなります。実は、果物だけでなく、取れたてがおいしいというイメージの野菜の中にも、追熟させた方がおいしく食べられる物があります。
その一つがサツマイモです。以前、焼き芋好きの息子のために「やきいもファクトリーミュージアム」という所に行きましたが、そこでも、収穫してから湿度管理をした室温30度ほどの貯蔵倉庫で保存をしていました。これは、貯蔵することで、サツマイモのでんぷんがβ‐アミラーゼの働きで糖に分解され、甘味が増していくからです。このβ‐アミラーゼはカボチャにも含まれるため、カボチャも貯蔵することで甘味が増します。
秋になるとわが子の幼稚園では毎年サツマイモ掘りに行きます。帰ってきて、「取れたてのサツマイモだよ」と喜んでいた息子ですが、「サツマイモは収穫したてより少しお休みさせてからの方が甘くなるよ」と言うと、毎日毎日新聞紙にくるまれたサツマイモをのぞき込んで、もう甘くなった? 今日は食べられる? とわくわくしていました。

 

岡村麻純(おかむら ますみ)1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/

出典:JA広報通信2019年9号

 

 

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